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[2014年06月02日] 第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第5節 トヨタ自動車、デンソーに完敗!両チームが同率首位に並ぶ!!

 
2014.6.2
 

 

第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第5節

トヨタ自動車、デンソーに完敗!
両チームが同率首位に並ぶ!!


 
伊勢崎大会では、伊勢崎市長・五十嵐清隆氏が始球式を行った
 
  豊田自動織機は今節連勝、通算7勝4敗で同率4位に浮上
 

 
ペヤングが「ホーム」伊勢崎で今シーズン初勝利を挙げた
 
  ペヤングの「ホーム」とあって「ペヤングやきそば」を大盤振る舞い!
 

 
首位・トヨタ自動車は「エース」モニカ・アボットが打ち込まれ、2敗目
 

 
デンソーは初回、メーガン・ウィギンズのツーランなどで3点を先制
 

 
デンソーは「難攻不落」のモニカ・アボットを攻略。7-0で完勝した
 

 
戸田中央総合病院は伊予銀行にサヨナラ勝ちし、通算4勝7敗
 

 
Hondaは2試合連続の延長タイブレーカーを制し、今節連勝!
 

 
太陽誘電は日立との「死闘」を制し、通算7勝4敗で同率4位に
 

 
日立も「ホーム」で懸命の戦いを見せたが……無念の連敗
 

 
「頂点」をめざし、熱い戦いが続く……
 
 
 


第47回 日本女子リーグ1部
第5節 秦野大会
日立 vs 太陽誘電


 第47回日本女子ソフトボール1部リーグ第5節が、5月31日(土)・6月1日(日)の両日、群馬県伊勢崎市、埼玉県戸田市、神奈川県秦野市の3会場で開催された。
 前節まで、トヨタ自動車が8勝1敗で単独首位に立っていたが、今節初戦の戸田中央総合病院戦には大勝したものの、デンソー戦に0-7の完敗。今シーズン2敗目を喫し、トヨタ自動車、デンソーの両チームが9勝2敗で同率首位に並んだ。
 また、「連覇」を狙うルネサスエレクトロニクス高崎は、豊田自動織機戦に敗れ、通算8勝3敗で3位に後退。4位には7勝4敗で豊田自動織機、Honda、太陽誘電の3チームが並ぶ「大混戦」となった。 

【伊勢崎大会】
 伊勢崎大会は、群馬県伊勢崎市・伊勢崎市野球場を会場に開催された。この伊勢崎大会は、ペヤングの「ホーム」として開催されたこともあって、ペヤングに好プレーが飛び出したとき、あるいはチャンスを作り、得点シーンを迎えると、スタンドでは「ペヤングやきそば」が飛び交い、観客にプレゼントする「大盤振る舞い」もあり、大いに盛り上がった。
 伊勢崎大会には、ここまで7勝2敗で同率2位に並ぶルネサスエレクトロニクス高崎、5勝4敗で同率5位の豊田自動織機、3勝6敗で同率8位のシオノギ製薬、未だ勝ち星のない最下位・ペヤングの4チームが参戦。真夏のような暑さの中、熾烈な戦いを展開した。

 初日、第1試合はシオノギ製薬とルネサスエレクトロニクス高崎が対戦。試合は、シオノギ製薬・岩田みゆき、ルネサスエレクトロニクス高崎・濱村ゆかり両投手の先発ではじまり、序盤は両チーム無得点。4回途中でルネサスエレクトロニクス高崎が「エース」上野由岐子を投入すると、これが「合図」だったかのように試合が動き、ルネサスエレクトロニクス高崎が5回裏、四球、安打、ワイルドピッチで無死二・三塁の先制機をつかみ、8番・柳井春菜の内野ゴロの間に三塁走者が生還。なお一死三塁のチャンスが続き、途中出場の9番・小松美樹のライトへの犠牲フライで2点目を奪い、このリードを「エース」上野由岐子が守り切り、2-0で勝利を収めた。

 第2試合では、豊田自動織機とペヤングが対戦。第4節までチーム防御率9.97と崩壊状態のペヤングは、「ホーム」で「キャプテン」小澤麻美が今シーズン初登板・初先発。昨シーズン、チームを支えた「左腕」の久々の登板で、チームの「闘志」に火がついた。
 ペヤング・小澤麻美は落ち着いた立ち上がりで試合のリズムを作り出すと、打線もそれに応え、3回裏、豊田自動織機・先発の栗田美穂を攻め、内野安打、犠打、内野ゴロで二死三塁とし、3番・大塚枝里香が四球で歩いた後、4番・山本葵衣がセンター前にはじき返し、三塁走者を迎え入れ、先取点を奪った。さらに二死一・二塁のチャンスが続き、5番・小澤麻美にもレフト前ヒットが飛び出し、二塁走者が一気に本塁を狙ったが、これはレフト・国吉早乃花の好返球に阻まれ、追加点はならなかった。
 ペヤングは終盤までこのリードを保っていたが、ここまで好投していた小澤麻美が6回表につかまり、一死一・三塁から4番・佐藤光紗のセンターへの犠牲フライで同点に追いつかれると、5番・国吉早乃花、6番・横野涼の長短打で2点を失い、さらに7番・ケイラニ・リケッツにもツーランホームランを浴び、この回5失点。
 その裏、8番・大島あずさが追撃のスリーランホームランを放ち、2点差まで追い上げたが、あと一歩およばず、4-6で敗れ、惜しい試合を落したが、明らかに今までとは違う「手応え」を感じた敗戦となった。

 2日目、第1試合では、豊田自動織機とルネサスエレクトロニクス高崎が対戦。試合は豊田自動織機・ケイラニ・リケッツ、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子の両エースが先発。どちらにとっても「負けられない」試合となった。
 豊田自動織機は2回表、二死走者なしから6番・横野涼が初球を狙い、センター頭上を越える先制のソロホームラン。ここまで落ち着いた立ち上がりを見せ、「この試合は違うぞ」というピッチングを展開していた上野由岐子だが、今シーズン度々見られる「一発病」でこの試合も先制点を許してしまった。
 1点を追うルネサスエレクトロニクス高崎は4回裏、この回先頭の5番・峰幸代がレフト線へツーベースを放ち、チャンスメイク。犠打で確実に三塁へ送り、「必殺仕事人」7番・大久保美紗がキッチリとヒットエンドランを決め、三塁走者が生還。試合を振り出しに戻した。
 同点に追いつかれた豊田自動織機は5回表、5番・国吉早乃花がレフト前ヒットを放ち、出塁すると、すかさず盗塁。6番・横野涼は三振に倒れたが、その投球がワンバウンドになり、振り逃げを阻止するためにキャッチャー・峰幸代が二塁走者への警戒を怠り、緩慢な動きで一塁へ山なりの送球。二塁走者・国吉早乃花は送球の間に楽々と三塁へ進塁し、この「ボーンヘッド」が響き、7番・ケイラニ・リケッツにライトへ犠牲フライを打ち上げられ、三塁走者が勝ち越しのホームイン。結局、これが決勝点となり、2-1で豊田自動織機が競り勝ち、通算成績を7勝4敗とし、決勝トーナメント進出圏内である4位まで順位を上げた。

 ようやく「本来の姿」を取り戻しつつある豊田自動織機だが、勝ったとはいえ、内容的には、まだまだ「万全」とは言い難い。今節初戦のペヤング戦では先手を取られ、終盤までリードを奪われる試合展開。ルネサスエレクトロニクス高崎戦でも、せっかく「難敵」上野由岐子から先取点を奪いながら、あっさり同点に追いつかれた場面はいただけない。一死三塁でヒットエンドラン、スクイズを「得意」とする大久保美紗を打席に迎え、わざわざ「タイム」を取って打ち合わせまで行っておきながら、初球いとも簡単にヒットエンドランを決められてしまうようでは、これから迎える終盤戦の順位争いを勝ち抜き、強豪が揃う決勝トーナメントを戦い抜くことができるのか疑問符がつく。常に「優勝争い」を演じていた頃の「迫力」に欠け、勝負にかける「厳しさ」が感じられない。
 選手層の厚さ、チームとしての総合力を考えれば、決勝トーナメント進出は「当然」で、優勝争いを演じなければいけないチーム。今後の戦いに注目したいところだ。

 敗れたルネサスエレクトロニクス高崎は通算8勝3敗。3位に順位を下げたが、宇津木麗華監督は、シーズン前、「今シーズンは4位に入れれば上出来。8敗まではあり得る」と冗談めかしていっていたが、あながちこれも冗談ではなく、ある程度、今シーズンの「苦戦」は予想していたようだ。
 「エース」上野由岐子の状態は、まだまだ「完全復調」とはいえない状態だが、それでも悪ければ悪いなりに、打者の体勢を崩し、タイミングを外し、狙いを外し、決して打者の良い形、フルスイングできる形にさせない投球術は「さすが」といえよう。ファウルにされ、粘られることが多いが、それでも球威が徐々に戻り、この試合では危ない場面は少なかった。
 ただ、思わぬところで「一発」を浴び、それが結果的には「致命傷」になってしまうケースが多い点は気になるが、調子自体は戻りつつあるように見える。それでも、本調子であれば、この試合の決勝点を奪われた場面でも、「狙って」三振を取りに行っていただろうし、それを実際にやってのけるところが上野由岐子の上野由岐子たる所以だが、そこまでの調子ではなく、上野由岐子「本来の姿」ではないのは事実だ。

 第2試合では、シオノギ製薬とペヤングが対戦。ペヤングは2回裏、4番・古関亜美の右中間へのソロホームランで先手を取ると、5回表に逆転を許したが、その裏すぐに反撃。一死から死球、安打、四球で満塁とし、二死後、連続四死球で逆転。
 このリードを5回途中からリリーフした菊池遥が守り切り、「ホーム」の熱い声援に応え、嬉しい今シーズン初勝利を挙げた。スタンドではこの勝利を祝し、「ペヤングやきそば」がスタンドを飛び交い、乱舞していた。

 勝ったペヤングは、「キャプテン」としてもチームを引っ張る小澤麻美の登板が可能になったことで、今までの嫌な流れを払拭した。今節2試合とも、先発・小澤麻美が試合を作ったことで、「勝機」が見え、実際にそれをモノにすることができた。
 シオノギ製薬戦では、昨シーズン、その小澤麻美とともにチームを支えた菊池遥も好投。勝利投手になっている。やはり、この左右の両輪にチームの命運を託すべきではないか。とにかく、この1勝で「1部残留」の可能性と「明るい兆し」が見えてきたことは間違いない。

 敗れたシオノギ製薬は、開幕3連勝の後、泥沼の8連敗。左腕・岩田みゆきがある程度結果を残してはいるが、好投していても突如乱れたり、勝負どころで持ち堪えることができなかったり……と、まだまだ「真のエース」にはなりえていない。
 それでも……この才気溢れる左腕にチームの命運を託すしか道はなさそうだ。岩田みゆきが「真のエース」に成長したとき、シオノギ製薬に開幕時のような「強さ」が戻ってくるはずだ。 

【伊勢崎大会試合結果】
・第1日/5月31日(土)
 ルネサスエレクトロニクス高崎 2-0 シオノギ製薬
 豊田自動織機 6-4 ペヤング
・第2日/6月1日(日)
 豊田自動織機 2-1 ルネサスエレクトロニクス高崎
 ペヤング 3-2 シオノギ製薬



【埼玉大会】
 埼玉県戸田市・戸田市北部公園野球場で開催された埼玉大会には、ここまで8勝1敗で単独首位に立つトヨタ自動車、7勝2敗でそれを追う同率2位のデンソー、2勝7敗で11位の伊予銀行を、3勝6敗で同率8位の「ホーム」戸田中央総合病院が迎え撃つ形で開催された。

 初日、第1試合では、ここまで2勝7敗で11位と苦しむ伊予銀行と7勝2敗で同率2位のデンソーが対戦した。
 デンソーは初回、「日本代表」にも選出された2番・永吉理恵が右中間へ先制のソロホームラン。1点を先制すると、4回裏には、一死から5番・田中真紀子、6番・巽麗菜の連打からチャンスをつかみ、すかさずダブルスチールで揺さぶりをかけ、二・三塁とチャンスを広げ、7番・伊藤綾香のセンターへの犠牲フライで1点を追加。さらに8番・野木あや、9番・江口未来子の長短打で2点を加え、この回3点を挙げ、4点差にリードを広げた。
 デンソーの先発・重藤恵理佳は、緩急自在のピッチングで伊予銀行打線を翻弄。わずか3安打に抑え込み、4-0の完封勝利を飾った。

 第2試合では、首位を走るトヨタ自動車と「ホーム」戸田中央総合病院が対戦。先攻のトヨタ自動車は初回、「日本代表」に選出された5番・坂元令奈のタイムリーで先制すると、その裏、同点に追いつかれたが、3回表、一死満塁から6番・山下りらのセンターへの犠牲フライで1点を勝ち越し。4回表には、8番・小野真希、代打・町田ひかるのホームランを含む6安打を集中し、大量7点を追加。その後も小刻みに加点し、16安打・13得点の猛攻で13-2と圧勝した。
 この試合、トヨタ自動車の先発・山根佐由里は5回を投げ、6安打・1失点の力投で勝利投手となり、自身の持つ日本リーグ連勝記録を「27」に伸ばした。

 2日目、第1試合は、首位・トヨタ自動車と2位・デンソーの「首位攻防戦」となった。
先攻のトヨタ自動車は初回、一死満塁の先制機をつかんだが、併殺でチャンスを潰し、その裏、トヨタ自動車が必勝を期して先発に立てた「絶対的エース」モニカ・アボットを、デンソーが誇る「リーグ最高の1番・2番コンビ」が攻め、1番・増山由梨のボテボテの当たりが内野安打となり、さらにこの打球の処理を焦ったピッチャー・モニカ・アボットが一塁へ悪送球。増山由梨が俊足を飛ばし、一気に三塁まで進むと、2番・永吉理恵のレフト前ヒットであっさり先制。一死後、4番・メーガン・ウィギンズがライトスタンドに叩き込むツーランホームランを放ち、初回にいきなり3点を先制した。
 これで勢いづいたデンソーは3回裏、「切り込み隊長」1番・増山由梨のツーベースからチャンスをつかみ、犠打、内野ゴロで本塁へ迎え入れ、1点を追加。4回裏には、6番・竹林綾香、7番・狩野香寿美の長短打でさらに1点を加え、「難攻不落」の好投手・モニカ・アボットをKO。代わった山根佐由里からも8番・野木あやがライトスタンドにソロホームランを放ち、この回2点を追加。5回裏には、2番・永吉理恵のツーベース、犠打で一死三塁とし、4番・メーガン・ウィギンズがキッチリとレフトへ犠牲フライを打ち上げ、7点目。予想外の一方的な試合展開となった。
 守っては、先発・ジョーリン・ヘンダーソンがトヨタ自動車の「強力打線」をわずか4安打に抑え込み、完封。7-0で完勝し、通算成績を9勝2敗とし、同率首位に並んだ。

 勝ったデンソーは、「常勝」を続けてきたトヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットをついに攻略。前任の望月孝雄監督が試行錯誤しながら道を拓き、その時代に登用された宮下雅志コーチが投手陣の底上げを行うとともに、「仮想・上野由岐子」「仮想・モニカ・アボット」役としてバッティング投手を務め、その対策を練り上げてきた。
 また、「アナリスト」として、2008年北京オリンピックで女子日本代表の金メダル獲得に貢献した福島豊司氏を招聘。「日本代表」で培ってきた戦力分析のノウハウをさらに推し進め、その確かな眼力と他者にはない視点からデータを積み重ね、分析し、戦う上での、プレーする上での「根拠」を数字で示し、「なぜそうするのか」「なぜそうしなければならないのか」をデータの裏付けとともに指し示すことで、チームとしての戦術的な指針を打ち出し、徹底することに成功した。
 さらに、望月孝雄前監督からチームを引き継いだ森澤隆行監督が、「良いもの」はしっかりと継承した上で、修正すべきところは修正し、コーチ、アナリスト、その他のチームスタッフの力を集約。データに基づいた合理的・科学的な戦術・戦略を確立し、確固たるチームとしてのビジョンのもとで戦い続けてきたことが今日につながっている。
 もちろん「たかが一試合の結果ではないか」という意見・見方も当然あるだろうが、この一試合のために、長い年月をかけ、しっかりとした準備を積み重ねた結果が、このような形で実を結んだことは間違いない。また、準備したこと、努力したこと、それらがすぐに結果に結びつくほど、甘い世界ではなく、ここに辿り着くまでも数多くの試行錯誤を繰り返し、「一つの結果」を出すに至ったことは、2年連続決勝トーナメント進出というこれまでの結果とともに、高く評価されて然るべきものである。

 敗れたトヨタ自動車は9勝2敗。デンソーと並び同率首位となった。「絶対的エース」モニカ・アボットがこのような形で打ち込まれたのは、まったく初めての経験ではないか。しかし、豊富なタレント、選手層の厚さ、持ちうる技術の高さなどを考えれば、「優勝候補の大本命」であることに変わりはない。しっかりと切り替え、次節に臨むことが重要になる。

 第2試合では伊予銀行と戸田中央総合病院が対戦。先攻の伊予銀行が初回、戸田中央総合病院の先発・アンドレア・ウィリアムソンの立ち上がりを攻め、1番・相原冴子がいきなりセンターオーバーのツーベース。犠打で三塁へ進むと、3番・近藤琴美が二遊間を破り、まず1点を先取。続く4番・矢野輝美が右中間を破るツーベースを放ち、二・三塁とチャンスを広げ、連続四死球で押し出し。この回2点を先制した。
 伊予銀行の先発・木村久美は、5回まで戸田中央総合病院打線をわずか2安打に抑え、無得点に封じていたが、6回裏に1点を返され、7回裏、7番・萩原瑠美のレフト前ヒットからチャンスをつかみ、一死後、9番・上原依万里のバント安打、1番・小沢佳那子のライト前ヒットで満塁と攻め立て、二死後、3番・太田あゆみが「執念」で二遊間を破る安打を放ち、二者を迎え入れ、逆転サヨナラ勝ち。「ホーム」の熱い声援に応え、詰めかけた観客を沸かせる劇的な試合を演じた。

 勝った戸田中央総合病院は通算4勝7敗。「入替戦圏内」「2部降格圏内」の争いに引きずり込まれることはいったん避けられたが、まだまだ安心できる状況ではない。外国人投手の起用法に何らかの「決断」が迫られているのではないか。

 敗れた伊予銀行は2勝9敗。惜しい試合を落した。初回に2点を先制し、「エース」木村久美が好投していただけに、勝っておきたい試合だった。
 ただ、「エース」木村久美の起用法に疑問が残る。外国人投手のように登板制限があるわけではなく、もっと上位チームにぶつけてもいいのではないか。「より良い状態で勝てる可能性の高い相手にぶつけたい」ということなのかもしれないが、チームが置かれた立場や状況を考えると、そのような起用法で本当にいいのかどうか、一考の余地があるように思うのだが……。 

【埼玉大会試合結果】
・第1日/5月31日(土)
 デンソー 4-0 伊予銀行
 トヨタ自動車 13-2 戸田中央総合病院
・第2日/6月1日(日)
 デンソー 7-0 トヨタ自動車
 戸田中央総合病院 3-2 伊予銀行



【秦野大会】
 神奈川県秦野市・秦野市中央運動公園野球場で開催された秦野大会には、ここまで6勝3敗で4位の太陽誘電、5勝4敗で同率5位のHonda、3勝6敗で同率8位のSGホールディングスグループ、5勝4敗で同率5位の「ホーム」日立が参戦した。

 初日第1試合、太陽誘電とHondaの一戦は、Hondaが初回に先制。二死三塁の先制機に4番・森山遥菜がレフトスタンドへ先制のツーランホームランを放った。
 2点を追う太陽誘電は3回表、9番・丸本里佳が左中間に追撃のソロホームラン。1点差に詰め寄ると、続く4回表にも、5番・原田のどかがセンターへ同点のソロホームランを放ち、試合を振り出しに戻した。
 その後は太陽誘電・藤田倭、Honda・モーガン・メロー両投手が追加点を許さず、2-2の同点のまま、試合は延長タイブレーカーにもつれ込んだ。8回、9回と両チーム得点なく、迎えた10回表、太陽誘電はタイブレーカーの走者を進められぬまま、二死となったが、1番・佐藤みなみが二遊間を破るタイムリー。ついに1点を勝ち越した。
 これで勝負あったかと思われたが、Hondaが粘りを見せ、その裏、四死球などで一死満塁とすると、1番・小川絵里加が二遊間を破るタイムリーを放ち、同点。二死後、3番・島崎望がストレートのフォアボールを選び、押し出し。あっけない形で熱戦に終止符が打たれた。

 第2試合では、SGホールディングスグループと「ホーム」日立が対戦。SGホールディングスグループ・カーヤ・パーナビー、日立・泉礼花両投手が好投し、息詰まる投手戦を展開。両チーム無得点で迎えた6回表、SGホールディングスグループが二死二塁から3番・駒野まみの二遊間を破る安打で二塁走者が一気にホームイン。試合の均衡を破り、先取点を挙げると、結局、これが決勝点となった。
 日立は自慢の「強力打線」が不発。SGホールディングスグループ・カーヤ・パーナビーに、わずか3安打に抑え込まれ、完封負け。スタンドを埋めた「ホーム」の大声援に応えることができなかった。

 2日目、第1試合ではSGホールディングスグループとHondaが対戦。Hondaが初回、SGホールディングスグループの先発・カーヤ・パーナビーの立ち上がりを攻め、敵失から一死三塁のチャンスをつかみ、3番・島崎望のタイムリーで1点を先制した。
 1点を追うSGホールディングスグループは4回表、3番・増野瑠奈の安打、犠打、内野ゴロで二死三塁とし、6番・柳瀬友紀のタイムリーで同点に追いついた。
 試合は1-1の同点のまま、延長タイブレーカーへともつれ込み、8回に1点ずつを取り合って迎えた9回表、SGホールディングスグループはタイブレーカーの走者を三塁まで進めたが得点なく、その裏、Hondaがタイブレーカーの走者を犠打で三塁へ進め、6番・又吉薫の内野安打で三塁走者が生還。頼れるキャプテンの一打で劇的なサヨナラ勝ちを収め、今節連勝を飾った。

 今節連勝のHondaは通算7勝4敗。同率4位まで順位を上げ、決勝トーナメント進出が現実味を帯びてきた。前節のルネサスエレクトロニクス戦での勝利で「自信」を得たか、今節は2試合とも延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を、「チーム一丸」「全員総力」の戦いで粘り強くモノにし、上位争いに割って入る勢いだ。

 敗れたSGホールディングスグループは4勝7敗。日立戦では息詰まる投手戦を制し、勝利したが、Honda戦では延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を演じながら、あと一歩及ばなかった。
 オーストラリア代表の左腕・カーヤ・パーナビーのピッチングにある程度計算が立つだけに、やはり打線の援護、得点力のアップが今後のカギとなりそうだ。

 第2試合では、上位争いの「生き残り」をかけた太陽誘電と日立が対戦。序盤から激しい点の奪い合いとなり、5-5の同点のまま、両チーム一歩も譲らず、延長タイブレーカーに突入。8回は両チーム得点なく、迎えた9回表、太陽誘電が7番・遠山佑奈、8番・山本晴香、9番・尾﨑望良の3連打で2点を勝ち越し。
 その裏、日立の必死の反撃を再登板した藤田倭が4番・佐々木瞳のタイムリーによる1点に抑え、7-6で逃げ切り、「死闘」を制した。

 勝った太陽誘電は通算7勝4敗。同率4位で決勝トーナメント進出圏内に踏み止まった。敗れた日立は5勝6敗。「ホーム」の今節でまさかの連敗。7位に順位を落とし、決勝トーナメント進出を狙うには、非常に厳しい状況に追い込まれた。 

【秦野大会試合結果】
・第1日/5月31日(土)
 Honda 4-3 太陽誘電
 SGホールディングスグループ 1-0 日立
・第2日/6月1日(日)
 Honda 3-2 SGホールディングスグループ
 太陽誘電 7-6 日立


 第6節は、6月7日(土)・8日(日)の両日、北海道釧路市、岩手県金ケ崎町、栃木県大田原市の3会場で開催される予定である。
 

第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第5節終了時点 全チーム成績
順位 チーム名
1位 トヨタ自動車
デンソー
3位 ルネサスエレクトロニクス高崎
4位 豊田自動織機
Honda
太陽誘電
7位 日立
8位 SGホールディングスグループ
戸田中央総合病院
10位 シオノギ製薬
11位 伊予銀行
12位 ペヤング 10

※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。


 
   
 


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